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「客将の立場に胡坐かいて、いい気になってんじゃねぇぞ。仮にもこな いだまで命の遣り取りしてた人間が、伊達軍の中でそう易々と優遇され るとでも思ってたのか?お目出度ぇヤツだな」 「それは…」 「政宗様は、お前がそんな中でも分を弁えて、ご自分の片腕となるのを 期待してんだよ。ま、ちょっと叩かれたくらいで、簡単にケツ捲ろうと する根性なしの恩知らずなんざ、こっちからお断りだがな」 (何を言ってるんだ、俺は。コイツを追い出したかったんじゃないのか。 今なら追い討ちをかけて、帰り支度を始めさせる事も出来るだろうが) しかし今、弱っている元親を目の前にして、何故か小十郎は、彼女に「帰 れ」と言う事が出来なかった。 己が仕える主とは、比べ物にならぬ粗暴でがさつな大女。 常に、自分の神経を逆撫でするような真似ばかりする忌々しい女。 かと思えば生意気にも、人知れずこっそりと涙を流すような繊細さも兼 ね備えた、不均衡な性質を持つ女。 それなのに、そんな元親が傍にいないと、かえって自分の心はささくれ 立って仕方ない。 (救いようのねぇブスだが、一応女は女だしな。ったく、こんな小娘相 手にムキになる俺も、どうかしてるぜ…) 今、元親を四国に帰らせる事は容易いだろうが、もしもそうなったとし たら、政宗は間違いなく落胆、悲嘆にくれるだろう。 そうなれば、更に奥州に混乱を招く事態にもなりかねないし、第一小十 郎には、敬愛する主君を哀しませるような事だけは、何としても避けた かった。 そうだ、これは政宗様の為だ。コイツの為などではない。 些か強引に自分の中で結論付けると、小十郎は意識しながら、元親に不 敵な笑みを向ける。 すると、小十郎の思惑通り、表情に輝きを取り戻した元親が、真正面か ら自分に挑むような目線を返してきた。 「……ざけんな。恩義や忠義に反するような真似、俺は絶対にしねぇ。 見てろよ!今にテメェら全員、この鬼の存在をイヤって程認めさせてや るからな!」 「吼えんな、ドブス。ま、さっきみたいな気色の悪ぃしんみり顔よりは、 100倍マシになったがな」 彼女の表情が眩しく見えるのは、きっと逆光のせいだろう。 そう考えた小十郎は、さり気なく視線を外す。 「~~~テメェには、『でりかしい』ってモンがねぇのかよ!女の劣等 感くすぐるどころか、抉るような単語、連発しやがって!」 「ほぉ?何だお前。もしかしてこの俺に、女扱いして欲しかったのか?」 「なっ…だ、誰がっ!」 勢い良く背を向けて去ろうとした元親の襟首を、小十郎は片手で掴むと 引き戻す。 「今日は、収穫するものが多い。手伝え」 「何で俺が!」 「なんなら、政宗様にチクってもいいんだぞ。え?この連日の野菜泥 棒が」 「ぅ…だ、だって、この野菜凄ぇ美味いんだもん…だから、つい……」 自作の野菜を褒められて、流石に小十郎も悪い気はしなかった。 僅かに口調を和らげると、元親に収穫用のカゴを渡しつつ言葉を続ける。 「だったら、コソ泥みたいな真似してねぇで、正直に言わねぇか」 「ごめん…でも、俺が言ってもくれなさそうな気がしたから……」 「バカヤロウ。俺はそこまで狭量じゃねぇ」 「…それはウソだ」 「………何かほざいたか、ブス」 収穫用の鋏を利き手の中で回転させながら、小十郎が元親に凄もうとし た瞬間、 右目と左目5
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1573.html
「喜びな。今からお宝の大好きなおネェちゃんの『宝箱』に、金の延べ棒なら ぬ、硬くて熱ーい『棒』を入れてやるぜ」 体毛と垢に塗れた男の不潔な手が、元親の衣服に触れようとした刹那。 「……いらねぇよ」 「──何ぃ!?」 男の足元から突如出現した網が、そのまま彼の身体を拘束した。 「テメェも親分なら、最後まで気ィ抜いてんじゃねぇよ。俺の所に来るまでか なりの時間があったのに、本当に俺が動けないとでも思ってたのか…?」 「く…そ、このアマぁ…!」 脱出を試みるも、元親によって張り巡らされたその網は、まるで持ち主の意志 に従うように、ならず者の身体を束縛し続ける。 「……あの世で閻魔様にでも自慢して来な。俺は地獄に来る前に、『鬼』と渡り 合ってきた男だ、ってな!」 言いながら立ち上がった元親は、両手持ちにした碇槍を大きく振り被ると、断末 魔を上げる暇すら与えずに、男の脳天を頭蓋ごと叩き割った。 脳漿や血飛沫を撒き散らせながら、網の束縛と、ある種現世の束縛から解放され た男は地に沈む。 元親は、肩で息をしながらそれらを亡羊と眺めていたが、 「…げほっ!?う…うぅ…っ……」 骨身に響く激痛と、尋常でない嘔吐感を覚えた元親は、直後、胃液交じりの血を 吐き出した。 呼吸をするのも忘れたかのように、暫しの間、止まらない痛みと悪寒に嘔吐(え ず)いていたが、やがて胃の中のすべてのものを吐き尽くした元親は、まるで男 の後を追うかのように、自分もまた倒れ込んだ。 沈みかけた太陽が、西の山に絶妙な光の帯を刻む頃。 「元親!元親!」 「おい、ブス!ドブス!何処だ!」 漸く件の山に到着した政宗たちは、暴動の痕跡の残る中、懸命に元親の姿を探し ていた。 「……どうやら、賊は全員片付けられたようですね」 「でも、元親は何処へ…?」 馬から下りた政宗と小十郎は、見落としを許さぬ勢いで、周囲の捜索を続ける。 「梵天!」 すると、少し離れた場所で彼らの手伝いをしていた成実から、声が上がった。 「どうした」 「これ、山賊の首領じゃねぇのか…?」 僅かに興奮した面持ちで尋ねてくる成実に、政宗達は悪党に相応しくも、無残な 屍と化した諸悪の根源を確認する。 「間違いないようですね。以前対峙した時に、小十郎がつけた傷が……」 その時。屍の横に投げ出された、妙に見覚えのある足袋と衣服に包まれた脚が、 小十郎の視界に飛び込んで来た。 全身から血の気が引きそうになるのを懸命に抑えながら、小十郎は身を屈めると それに近付いていく。 そして。 「……!…」 「……NOOOOOOOOOO!!!!!」 息を飲み込む小十郎と、悲痛の叫び声を上げる政宗の前に、青白い顔をした元親 の身体が、無言で横たわっていた。 右目と左目15
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1572.html
「まあ、何でもいいさ。おネェちゃんくらいの器量良しなら、俺の女にして やってもいいぜ。山賊の首領の花嫁ってヤツだ。悪かねぇだろ?」 「…?」 倒された仲間達に目もくれず、首領の男はいやらしい笑みを張り付かせな がら、元親に問い掛けてきた。 思惑はどうあれ、自分の外見について好意的な形容をされた元親は、不覚に もほんの一瞬だけ心が揺らめきかけたが、 (浮かれてんじゃねぇぞ、ブスが) 間髪入れずに、すっかり元親の頭に刷り込まれてしまった小十郎の揶揄が、 彼女の浮ついた気持ちを一瞬で吹き飛ばした。 「──こんな所まで出てくんなよ!」 「……はぁ?」 「な…何でもねぇ。とにかくお断りだ!海賊が山賊の世話になんざなるか!」 「へぇ。こりゃあ、随分と可愛い海賊もいたモンだなあ。海賊のおネェち ゃんなら、俺ら山賊の気持ちも判るだろ?」 自分の胸元や腰に絡みつく男の視線に不快感を覚えながら、元親は厳しい表 情を向ける。 「判んねぇな。俺ら海賊は、お宝を手に入れるのに、無差別に船を襲うよう な真似はしねぇ。漁師が魚を獲る時、むやみに海を引っ掻き回さねぇのと、 おんなじ事だ」 「……」 「テメェやテメェの仲間からは、その『賊』の掟や仁義の微塵も感じられね ぇ。そんなヤツらの言葉を、俺が信じるとでも思ってんのか?」 「ちょっとおだててやれば、簡単に引っ掛かるかと思っていたが…甘かった って所か。ションベン臭い小娘が、調子に乗りやがって」 「生憎、そういった罵詈雑言は慣れっこなんだ…いいぜ。この『鬼』が、オ メェに海賊の流儀ってヤツ、教えてやらあ!」 男から放たれた鉄球を横に避けると、元親は、武器の碇の部分に足を駆け、 地を蹴った。 すると摩擦力か何かの影響か、元親を乗せた碇槍は、まるで波打つような炎 と共に、男目掛けて突進していく。 そうはさせじ、と再度男の鉄球が元親の攻撃を阻まんと迫ってきたが、元親 は絶妙な均衡を保ちながら、それらを器用に擦り抜けていく。 やがて、何度目かの男の鉄球を交わすと、裂帛と同時に碇槍ごと大きく跳躍 した。 「食らえ!」 「……させるかぁ!」 だが、炎を纏った元親が男を捕らえんとした瞬間、男の手から鉄球とは反対 側の武器の柄が、彼女のこめかみを狙ってきた。 柄とはいえ、鋼鉄で出来たそれを、至近距離で食らえばひとたまりもない。 間二、三髪、という所で、辛うじて身を捻り直撃を防いだが、空中で僅かに 体勢を崩した元親を、男は見逃さなかった。 丸太のような太い足を振り上げると、元親のわき腹に蹴りを入れる。 「くぁっ!」 落下の際に背中を打った元親は、短く叫ぶと、息苦しさに咳き込んだ。 勝ち誇ったような表情の男を睨み返すも、隠し切れない苦痛と疲労に、全身 が悲鳴を上げていくのを覚える。 「どうした?小娘。山じゃ海賊の技も、通じねぇってトコか?」 「く…」 懸命に立ち上がろうとする元親を一笑に伏すと、男は、すっかり勝利を確信し たかのような表情を浮かべながら、元親へと歩み寄ってきた。 「安心しな、直ぐには殺しゃしねぇ。槍使いの上手なおネェちゃんに、俺の『槍』 を手入れして貰うだけだ。念入りにな」 「だ…誰がお前なんか!」 「まだ強情張るのかい。可愛がり甲斐があるじゃねぇか」 片膝を着いたまま、痛みに顔を顰めている元親を、男はわざと哀れむように 見下ろす。 右目と左目14
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フリッツ 共同シナリオ「オリゾンテ大陸」に登場。フィール陣営のイベント人材。 ローザスと並んで最重要人材だが、キャラは90-00年代の創作物によくいた変態紳士の残念なイケメン。 普段は幼女好きを公言して憚らないが、少女と女性の狭間にいると思われるローザスと真っ当にロマンスするなど実は真人間感がある。 -- 名無しさん (2022-06-08 21 07 47) 名前 コメント
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名前変えました!!!! 後、サブのsys.Rqが入りました。 メインが抜けるかもしれないけど・・・ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (AVA左目さん.jpg)
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発売時期:1997年12月6日/収録号数:DS17号 発売時期:1998년3월/収録号数:제오호 対応機種:Windows/メディア:CD-ROM ジャンル:スポーツ/シリーズ名:その他 概要説明 コースを走り、タイムを競うスコトラ系ゲーム、14号に収録のたぬキッズ RACEの進化版。 インターネット経由でリプレイデータを送受信でき、ログイン・コンパイル提携企画第二弾として、ログインのウェブページにて「ランキングバトル」を行っていた。 (このサービスは1998年5月31日をもって終了している。) 修正パッチ 接続先変更パッチ パッチをあてるとファンサイトのランキングバトルに参加できるようになります。 (公式サイトのランキングバトルは既にサービスを終了しています。) 操作方法 キーボード ジョイパッド 移動 ←・→ ←・→ ジャンプ Z Aボタン 急降下 ↓+Z ↓+Aボタン ターボ X Bボタン 三角飛び:壁に向かってジャンプ後、壁に当たった瞬間に逆方向にジャンプを入力。 小ジャンプ:ジャンプボタンを短く押す。 攻略情報 その他 チュートリアルを最後まで見てしばらく放置していると早くゲームを始めるように注意される。
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フリッツ 名前:Fritz デビュー:『モンスターズ・ワーク』(2021年) 概要 水色の大柄な一つ目のモンスター。大きな鼻とお腹が特徴的。 モンスターズ・インク*のMIFT*所属で、リーダー的存在。タイラー・タスクモンやヴァル・リトルの上司にあたる。所属部員のことを家族のように思っている。 登場作品 2020年代 2021年 モンスターズ・ワーク 声 ヘンリー・ウィンクラー(2021年) 遠藤純一(2021年)
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「元親。どうかこれからも俺の…『俺達の』傍にいてくれ」 「政宗…みんなも…俺、ここにいていいのか……?」 「当たり前じゃないか」 政宗の手を握り返しながら、元親は震える声で問う。 そんな元親に、政宗をはじめ若干一名を除いた伊達の面々から、快諾を意味す る笑顔が返って来た。 「本当に…?」 彼らの曇りのない優しい笑みは、それまで何処か無意識に作っていた元親の心 の壁を、ゆっくりと取り払っていった。 そしてそれは、万感の想いとなって、彼女の頬を伝い始めた温かなものと一緒 に流れ落ちていく。 「……良かったぁ。俺…俺、これからも、ここに居られるんだ……」 『『『───うっ!!!!???』』』 後から後から零れ続ける涙を拭いながら、それでも嬉しそうに笑っている元親 の姿を見た伊達の一同は、それぞれの胸を、正体不明の衝撃が一斉に襲ってき たのを覚えた。 (い…今まで気付かなかったけど……) (こ、この人って実は……) (結構…可愛い……!?) (ほ、惚れた……) 意識すればするほど、精鋭達の視線は、初めて目にする『四国の鬼』の泣き顔 に、釘付けになってしまう。 原因不明の動悸に集団感染(?)している中、ただひとりの例外者がいた。 眉間に必要以上の縦皺を刻みながら、その人物はヅカヅカと元親に近付くと、 「いつまでもメソメソしてんな、ブスが」 スパン、と乾いた音が響くと同時に、周囲の空気が一瞬にして元に戻った。 「痛っ!何すんだよ!」 「黙れ、ブス。政宗様、あとオメェラも。日が暮れねぇ内に帰るぞ」 「ヘ、ヘイ!小十郎様!」 『竜の右目』のひと声で、伊達軍は三々五々に帰り支度を始めた。 そんな彼らを見届けると、小十郎は、頭を押さえながら、自分を恨みがましそ うに睨んでいる元親に視線をやる。 「オメェが倒したのは、以前からずっと、俺達や政宗様を悩ませていた性質の 悪ィ連中だった」 てっきり、またいつものように小言を食らうのではないか、と身構えていた元 親は、事の他穏やかな彼の声に、目を瞬かせる。 「ただの野盗風情とは訳が違う。そんなヤツらを、お前はたったひとりで蹴散 らせたんだ。……だから、もっと胸張ってろ」 「アンタ…ホントは俺の事、追い出したかったんじゃないのか?いいのかよ、 その……」 「政宗様だけならともかく、今じゃ他の連中もお前を認めちまってる。流石の 俺も、多数決にゃ逆らえん」 「そっか。……有難う」 「な…べ、別に礼を言われる道理はねぇぞ!?」 じっと自分を見つめてくる元親の顔を、何故か今、小十郎は直視する事が出来 なかった。 これは、何かの間違いだ。 そうでなければ、俺がコイツを意識するなど、ありえない。 そうだ、コイツが柄にもなく泣いたりするからだ。腐っても女だし。 『動悸を通り越えて不整脈レベル』にまで達していた胸の鼓動を、無理矢理封 じ込めた小十郎は、大袈裟に咳払いをすると、元親に向き直った。 「だいたい、女にとって涙っつうのは『りーさるうぇぽん』だろうが。それも 絶世の美女ならともかく、お前みたいな愛嬌と元気しかとりえのないブスが、 むやみやたらと安売りするんじゃねぇ」 「……言ったな!?そういうテメェだって、黙ってる子供も泣き出しそうな、 極道顔のムッツリのクセに!」 「何だと、ドブス!」 「何度だって言ってやらぁ!この…あ、イタタタ……」 わき腹を押さえて顔を顰め始めた元親に、小十郎は開きかけていた口を閉じる。 「怪我人が、ベラベラくっちゃべってるからだ。帰るぞ」 「ぅ、うん…あ、あれ?」 小十郎に促されて立ち上がろうとするも、元親の身体は動かない。 「どうした」 「や、な…何でもない。俺、後からゆっくりついて行くから、先帰っててく れよ」 「……ウソ吐いてんじゃねぇ。ホントは立てねぇんだろが」 ホラ、と小十郎は元親から背を向けると、上体を屈めた。 「…ぇ、えぇっ!?い、い、いいよ!大丈夫だから!」 「ひとりでどんだけ時間かけて、下山するまでの間、政宗様を心配させる気 だ。それに、夜になれば冷え込むし危険も増す。山を舐めるな」 「でも…」 「心配すんな。40貫(約150kg)くらいまでなら、俺は余裕で背負える」 「……幾らなんでも、そんなにねぇよ!第一、女に目方聞くなんて、失礼だろ うが!」 「うるせぇ。俺に『100貫デブス』の烙印を押されたくなけりゃ、さっさとしろ」 「~~~~っ」 暫し躊躇していた元親だったが、やがて観念したかのように、おずおずと小十郎 の背にその身を預けた。 右目と左目18
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グローツラング 南アフリカ共和国に伝わる精霊。 川に住む大蛇。
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慌てた様子で部屋に入ってきた政宗を、小十郎は少々驚きながらも迎える。 「やっと戻って来られたか」と、複雑な心の内を抑えつつ、出来るだけ平 静な態度は崩さずに、話を切り出そうとした。 「あのな、小十郎(一緒に元親を迎えに行ってくれねぇか?)」 「政宗様、お話が…(共に、アイツを探しに参りませんか?)」 まるで示し合わせたかのように揃った主従の声は、思わず互いの舌を止め てしまう。 「……申し訳ございませぬ。どうぞ、お続け下さい」 「え?い、いや。小十郎、お前から言えよ」 「…は。それでは僭越ながら」 小十郎が恐縮しながらも続きを言おうとした直後。 「失礼します!政宗様!急襲です!山賊が隣国から、奥州に向けて進軍中!」 伊達の隠密『黒脛巾』の急報を受けた伊達の家臣が、厳しい顔で入室し て来た。 「場所は何処だ!」 「はっ、現在最上の山中から、国境に侵入しつつあり、との事です!」 「──!?」 国境周辺を根城にしている山賊は、割と規模の大きなもので、度々奥州や その他近隣の国を脅かす、厄介な存在であった。 またか、とうんざりしながらも、詳細を尋ねた政宗だったが、次いで家臣 の口から告げられた言葉に、顔色を失った。 「チッ。まったく…払っても払っても付き纏う、ハエみたいな連中だぜ…オ メェら、行くぞ!ついでに誰か、あのブス呼んで来い!良いですね?政宗 様……政宗様?」 部下達にてきぱきと指示を出す小十郎は、突如、両手を口に当てて坐り込 んでしまった主の姿を目にした。 「どうしたのですか、政宗様。貴方も早く!」 「……」 そう促すも、政宗は顔面蒼白で震えたままである。 「ダメです!長曾我部殿の姿が見当たりません!」 「……こんな非常事態に、何処トンズラしやがった、あのドブス!」 その時。 苛立たしげに声を荒げていた小十郎の視界に、数名の精鋭達の姿が入った。 「お、おい、やべぇよ」 「いくら強くても、ヤツら相手にひとりじゃ…」 「まさか、こんな事になるなんて……」 彼らは、時折政宗にちらちらと視線を移しながら、萎縮していた。 小十郎はふと平静に返ると、今日の政宗の言動と彼らの様子を眺めながら、 頭の中で思考を整理する。 そして、ある種の結論に達した小十郎は、もう一度政宗の傍まで移動すると、 坐りこむ彼女の前で上体を屈め、出来るだけ穏やかな声で尋ねた。 「政宗様。アイツが何処にいるのか、ご存知ですね」 「…」 「お答え下さい。アイツは何処ですか」 「……」 「政宗様」 「……っ…」 「アイツは何処に行ったのですか!?政宗様!」 うな垂れたまま動かない主の肩を掴みながら、小十郎は、再び語気が荒くな っていくのも構わず、彼女に問い続ける。 「……頼む」 長きに渡る沈黙の後、やがて震えた応(いら)えと指が、小十郎の鼓膜と触 覚を刺激する。 漸く顔を上げた政宗は、涙と鼻水に塗れた様を、小十郎に惜しげもなく晒し たまま、しゃくり上げながら言葉を綴った。 「お願いだ、小十郎……元親を助けてくれ……!」 政宗の懇願を聞いた小十郎は、次の瞬間、単身屋敷を飛び出していった。 右目と左目11